稲田御坊の名で親しまれている稲田禅房西念寺は、親鸞聖人が恵信尼公とともに約20年の間お住まいになり、聖典『教行信証』のご執筆を進められつつ、関東一円へのご布教にあたられた浄土真宗の聖地に建立されました。聖人が家庭生活を営まれ、お子様方をお育てになったのも、「稲田ご草庵」時代のことです。
聖人を越後よりお迎えした稲田九郎頼重(よりしげ)は、聖人に帰依して頼重房教養(らいじゅうぼうきょうよう)となり、当山の礎を築いたと伝えられています。稲田ご草庵の伝統は、この地に脈々と残り、今に至りました。
昼なお暗い参道をふみ茅葺きの山門をくぐれば、境内には樹齢800年の巨木が茂り、「峨々たる岳山あり…数千万億の有情群衆せり」と聖人が夢見られた山々の稜線は、比叡の峰を彷彿とさせます。
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